カワタキのものづくりは日々の暮らしからヒントを得ることもあれば、販売先バイヤー様のリクエスト、市場調査、ユーザーからの貴重なご意見など様々な情報源を元にして始まります。ここでは全方位にアンテナを張り巡らし、より良い商品づくりに奮闘している担当たちの熱い思いをご紹介致します。
― 品質管理業務について教えてください。
品質管理には二つの大事な業務があります。一つが販売する前の開発商品について、仕様の確認、ラベルや取扱説明書に不備がないか確認を行い、当社品質基準を満たしているかチェックすること、もう一つが商品を販売した後、残念ながらお客様のもとで不具合が発生し、お客様からお申し出を頂いた場合に不具合の調査を行い、原因の追求と再発防止、商品の改善・改良につなげていくことです。
― 今まで取り組んできた仕事で印象に残っている商品はありますか?
過去にお客様から頂いたお申し出でいいますと、洗濯ネットで洗濯されたお客様からネットが裂けたように破れたというお申し出が多発したことがありました。再現を試みましたが、何度テストしても再現出来ない。初めは入れる洗濯物の量や洗濯物の内容、他の洗濯物の条件等を変えながら洗濯していましたが、裂けの原理(条件)から見直そうと取り組みました。
他社製品と生地の編み方を比較したり、どういった糸の切れ方や引っ張り方、どの糸が切れたか、など破れの発生条件を再現するところから、洗濯機の中を想定して水に浸けて試したり、条件を変えながら何度も洗濯試験を行いました。部署内で意見を出し合いながら何度も試した結果、破れの条件の発見と再現に至ることができました。縫製上の問題と使用上の問題の二つを推定できたので、取扱説明書へわかりやすくイラスト入りで注意表示を追加したり、縫製上の基準を新たに設けるなどの対応を取った結果、お申し出件数も減りました。
また電子レンジでご飯を炊く容器でご飯を炊くと「お米が硬い」というお申し出を頂いたことがありました。普通のお米で炊いてみてもうまく炊けてしまう。何種類かお米を試してみたものの、うまく炊けてしまう。ふとその商品が掲載されているチラシに目を向けると、無洗米の取り扱いが多いことがわかりました。そこで無洗米を試してみると、お米が少し硬くなることが判明し、取扱説明書に無洗米のおいしい炊き方を追記するようにしたこともありました。
家電品を使った商品の場合は、一通り家電の取扱説明書を読みこなし、家電メーカーのお客様相談室に問い合わせたり、社内でメーカー毎、家電の種類毎(洗濯機であればドラム式と縦型式、レンジであればターンテーブルタイプとフラットタイプ等)で使用テストを実施、幅広い家電で試しています。とにかくお申し出の状況を再現することに日々苦戦していますが、お申し出から、商品を使用されるお客様の暮らしの断片が見え、お申し出状況を再現することで、このように使われているのかと次の商品開発へのヒントになることはたくさんあります。せっかくいい商品であっても、使い方が誤っていれば、商品の良さは全く伝わりません。「お申し出対応」と一言で言ってしまうには勿体ないほど、学びがたくさん得られる仕事です。
― 今、品質管理で力をいれていることは何ですか?
今に限ったことではなく、ずっと品質第一な風土づくりです。お申し出の多発を予見し、防ぐことができる体制づくりに目下全力で取り組んでいます。品質管理の立場としては、目新しさや価格でもなく、品質が第一。「カワタキ製品だから」と安心していただけるように、カワタキ品質基準を一つ一つ積み上げていきます。